展覧会を見に来てくださった方たちから、「なんの木を使っておられるのですか?」とたびたび質問される。
ほとんどが樟で、十分に乾かした樟を使っている。
「いい香りがしますよ」と匂いをかいでいただき、木の香りがぷうんとしたところで「ほら、樟脳(しょうのう)の〜」と説明する。

作品となっても木は生きている。だから乾燥に弱い。
ライトが照り、空気が乾く会場に置くと、乾ききっていない木は「パチン」と
大きな音がして、干割れすることがある。
そうなれば恥ずかしい。
干割れのしない材料を使うことも木彫家の腕だと思うからだ。
幸いに私の作品は干割れしないと定評をいただいている。
6月末の京阪百貨店守口店の個展に「森の夢」という、木の上に白ふくろうが佇む作品を出した。
白いふくろうは幸せのしるし、そして木は東北のヒバ材を使った。
被災された皆様を思う、精一杯の気持ちだった。
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